女性のお客様で囲碁を始められた方の中には、亡くなられたご主人様が囲碁がお好きだったという方が多くいらっしゃいます。立派な碁盤がお家に残され、生前のご主人様が夢中になっておられたことに目を向けられたというのが動機の一つとなるのでしょう。ご家族のどなたかがなさっていると関心を持たれる方が増え、囲碁人口が増えるので、一家に一人囲碁を普及させることが大事ですね。
かくいう私も亡父が囲碁好きで大学の囲碁部に入部した頃、共に9級くらいだったのに亡くなる前には同じ五段免状をいただくまで抜きつ抜かれつの攻防戦がありました。大学のリーグ戦で負けてくると「弱いな。」という一言にムッとして打たなくなったり、時には私がハメ手にまんまとひっかかり大層、喜んでいた姿を思い出します。残された書籍の数々をめくって見るとラインマーカーが引いてあり、勤勉さに頭が下がります。亡くなった父の年を数えると、80歳になっているはず。当教室には米寿を迎えられた最年長の生徒さんがおられます。お元気で教室に通ってこられる向学心と意欲は見習う点が多く、蔭で支えておられるご家族の暖かさを感じます。
この囲碁サロンは父が亡くなってから始めましたので生きていたらどんな言葉をかけてくれたでしょう?おそらく、「まだまだの棋力で恐れ多いことを始めたね。でも、石の上にも三年、頑張ってみろよ。」かな???