5月3日の祝日にペア碁大会を行いました。大会前には、長岡技術科学大学、新潟工科大学で教授を歴任されました一ノ瀬 幸雄先生に「私の生きた技術革新の40年」という題名で講演をしていただきました。一ノ瀬先生は、周がオープン当初からの会員さんで四・五段の実力者。お人柄が良く、女性の級位者の方々に優しく打ってくださって大変、人気のある方です。ペア碁は苦手だけれど、一ノ瀬先生のお話は聞きたいと講演のみの参加者もいらっしゃったほどです。
その中のお一人は、定年を迎えられてこれからの楽しみを探されておられる方でした。以前、一ノ瀬先生と対局されている時にその話題になり、先生も退官後に料理教室に通われたり、英会話を学ばれている旨、お話になっていました。通信教育で学ばれた絵画の作品の一つは、周の入り口に飾られ、日々、お客様をお迎えしています。日頃、対局されている皆さんが一ノ瀬先生がどのようなお仕事をされてこられたのかそのお人柄と共に関心が高かったことと思います。
日経新聞で連載されている「私の履歴書」のように生い立ちから話していただき、茨城の那珂湊ご出身なので昭和の初めに水戸まで出るのも大変な時代、東京まで大学に行くのは物理的にもご苦労のあったこと、お爺様やお父様のご職業の影響で理科系の道しか考えなかったこと、進学適性検査を重視しなかった東京工業大学を受験・合格されたことが一つの転機になったことなどユーモアを交えて楽しくお話していただきました。大学卒業後に勤められた第一精工舎では,オリンピックの正式計時用にSeikoが食い込むためのプロジェクトである水晶時計の開発に携われ、機械式時計からクオーツ時計への変遷、日本の小型化技術の成功による腕時計の世界での台頭、スイスにモジュールを輸出するまでの発展等を開発者の目線で説明していただき、「日本の腕時計は世界一」と、子供心に誇りに思っていた時代が懐かしく甦ってきました。
日立中央研究所では、大容量メッキ磁気デイスクの開発、長岡技術科学大学ではダイヤモンドの気相合成の研究と手掛けられた研究について優しくご説明してくださいました。
最後に日立時代のご友人で脳の動きを分析されている先生とお話された後日談。子供たちが碁を打っているときの脳の働きを調べたところ、コンピュターのソフトとではなく、対人間と打った場合、脳は活性化するというお話も添えてくださいました。
さて、ペア碁大会は、佐藤三段と小西弘子4級のペアが四戦全勝で優勝。佐藤三段の小西4級へのエールは、細かい失敗はあっても大所でのミスが少ないのとペアの相手の手をよく見てついてきたところが素晴らしいとおっしゃっていました。小西4級は、佐藤三段のフォローが抜群なので、安心して打つことができたそうです。賞品は、山下棋聖と張碁聖のコーヒーカップでした。美味しいコーヒーを召し上がってくださいね!!!
惜しくも2位は、羽田二段と柿本二級のペア。普段、よく打っておられ、旧知の間柄。柿本さんの初段への昇段を応援している羽田さんです。三勝一敗で優勝を逃がしましたが、個人戦でも柿本さんは二位が多く、奥様にも「そんなに囲碁に熱中されて、いつ頃、プロになれるのですか」と、ご指摘を受けているそうです。(笑)お互いにご自分のミスで負けたとおっしゃる潔いペアでした。賞品は、ペアのマグカップでした。
3位は光田二段と高橋貴子3級のペアと九岡五段と木村5級のペア。九岡五段は、一敗した時点で終ったと勘違いされ、巨人戦をご自宅で観戦されていましたが、お電話したら律儀に戻って小西初段(優勝者のご主人様)と坪井1級のペアに勝たれました。小西ご夫婦は、惜しくもダブル受賞を逃されました。九岡さんから「やんちゃなご主人の手を見事に修正されて囲碁未来教室の生徒さんは、筋の良い人ばかりですね。」と、坪井さんを褒めておられました。坪井さんは、奥様は優勝者のペアの方なのに勘違いされているのかと思われたと微笑ましいエピソードでした。九岡・木村ペアは、九岡五段の強いのはもちろんのこと、木村5級のミスが少なく、穴の少ないペアとの評判でした。後日、木村さんからは、「ペア碁は組んだ有段の方にご迷惑を掛けると参加を躊躇しましたが、九岡さんの手が大変、勉強になり、参加して良かった」との有り難いコメントをいただきました。木村さんは、NHK学園の生徒さんで夏の日に、看板を下ろしに行ったところ、教室の有無を聞かれて案内を差し上げ、生徒さんになっていただいたいきさつがあり、碁縁でしたねとお話しています。
光田二段は、女性では周のお客様で一番強く、席主が二面打ちや子供との対局を気軽にお願いしても、快くお引き受けくださいます。高橋3級は大学の先輩。子供教室の仕事仲間でもあります。周では、男女のペアではなく、棋風などで席主の独断でペアを決めさせていただきました。とても良いペアばかりだったと自負していますが、皆さんの感想は如何に???
福田初段と野上2級のペアも惜しくも光田二段と高橋貴子3級のペアに敗れ、3位入賞を逃しましたが、初段教室でご一緒のお二人で息もピッタリ。お互いに打つ手は予想できたようです。普段、対局されいるのも良い結果を生みそうです。
有段と級位者のペア碁を発案された岩附五段も退院された直後でしたが、参加してくださり、「楽しかった。成功だね!」と、おっしゃってくださいました。また、組んだ山口5級が大変、筋が良いと褒めておられました。打った有段者から次にお目に掛かったときは、是非、一局と級位者の方々にお話があった由、嬉しそうに話してくださった方がおられました。
講演をしてくださった一ノ瀬先生は、翌日から皆さんに「素晴らしい講演をありがとうございました」と口々に賞賛を浴び、普段、お仲間と口舌戦で戦っておられたのも控えめに敬意の的になっていました。ここでは、皆、童心に返って普段は、口舌戦さながらやんちゃに打っているのですが、数日は、打ちにくかったかも(笑)
皆さんのご協力のお蔭様で楽しい大会となりました。席主の私も教え子の小学5年生と組み、二勝できて大満足。丸坊主の彼の頭を撫ぜてあげたくなったほど良い手連発でしたが、もう小さくない生徒さんですから実行には移しませんでした。実の子供にも男の子には小さい子扱いはいけないとよくよく注意されていますから。ペア碁に敗れた後も組んだ相手の方に打ちながらお教えになっていた方や励ましの言葉を掛けられていた方が多く、囲碁の楽しさと同じ趣味を媒介とする集団の輪を改めて素敵だなと思いました。ありがとうございました!!!